(フィクション)
6.家へ戻る

「今日は、とりあえず帰る?家に。親も心配しているだろうし。」

優子さんの声が聞こえた。ぼくは、軽く首を縦にふった。

「とりあえず、学校の先生と、親には連絡とれているから。」

1日ほどの出来事だったが、僕には、一週間、いや、一ヶ月のような気がした。やっと、家に帰れる....


 家に帰る途中、先生に会った。

「秋人。おまえは、本当に望んでるのか、戦いを?」

私に話し掛ける先生の目は、怒っていた。
「もし、嫌になったら。いつでもうちに来い。命をかけてでもかくまってやる。民主主義の国の教師としてな。」

そういうと、先生は、学校の方に走っていった。

「聞いたぜ。」

びっくりして、後ろをむくと、優助がいた。

「戦争要員に駆り出されたってな。言ってた洒落のまんまになってしまった訳だ。」

洒落を言っているつもりのようだったが、涙目だった。

「今は、俺達だって、立派な権利をもっているんだぜ。..死ぬな..絶対。」

優助は、そう行って去った。いつの間にか家についた。
「おかえり...」

母は、やっぱり悲しそうな顔をしていた。なにか家中が暗かった。そりゃそうだ。自分の子供が戦争に駆り出されるのだから。第二次世界大戦の時のように「お国のために」とかいっているような時代でもないのだから。

「第二次世界大戦時は、軍隊の中で、どんな理由で死のうとも、名誉の戦死になってたんだよね。」

何故か、自分の口から、そんな言葉が出ていた。母は、今にも泣き出しそうだった。

「僕は、そんな名誉ならいらない。...母さん。」

僕は、一度、深呼吸してから、言葉をつづけた。

「絶対、死んだりしないから.....」

今の状態でも、悲しんでくれている人がいる。だから、これ以上その人達を悲しませたりはできない。だから、死んだらだめなんだ。そう自分に言い聞かせた。

(「現実と夢の境で」/つづく)