愛先生の事を調べてみると、やっぱり僕と同じ名前のユウさんの事が気になった。
「私も会ってみたい!ユウさんにユウのコスチュームアドバイスしてもらうんだ!」
なにやらアキが騒いでいるけど、とりあえずそういう意味ではない事だけ言っとくとして。
何て言うかさ、愛先生が「ユウさんの存在を掴んでいる事」を否定も肯定もしないんだもの。
もちろん、理由は想像できなくはない。だけど精査した結果、ユウさんの借金に関しては愛先生がこの学園に就職した時点で完済しているし、なにか愛先生が受取人の保険が存在したっていう訳ではなく、そのまま失踪宣告の取り消しを行ったとしても、差し迫るなにかがある訳でも無い。
可能性としては、本当にこの世の中にいないというケースと、居場所を掴んでいるけど既に別の人物として生活していて、むしろそれを祝福しているってケース。もしくは何かの脅しがあって隠しているというケース。
一番最初のケース以外に関しては、これって警察にバレてしまうと、愛先生自体も前科者になってしまう訳なのだけど、脅しくらいで屈するタイプではなさそうだし、可能性としては残る一つくらいなのかな。
「…先生、調べてみてもいいですか?」
「あのねぇ…。ターゲットに承諾を取るのは、それなりに確証のある情報をつかめてからよ。想定でそんな話をしてターゲットが情報を握りつぶしたらどうするのよ?私が教師だから、それはないと思っているのであれば、もっとライトな話題に変えた方がいいわ。そんな甘い考えをする人には合わない。」
先生は苦笑いをしていた。
「まあいいや。一つだけ忠告しとくわね。仮にあなたの考えるコトが事実だとすれば、それらを難なくこなせるだけの力を持った組織がバックにいるって事。コトの進展によっては、危害を与えにくるかもしれないし、こないかもしれない。万が一の場合は、情報より命。…ね。命があれば、後で調べ直す事だってできるんだから。」
この言葉自体はどうにでも考えられるのかもしれないけど、僕は純粋に心配してくれているものだと受け取った。というのはやっぱり甘すぎるのかな。
「…どうも、アイツとイメージが重なってしまうのよね。あなたは。心配だから…。悪いけど、アキさんも同伴してもらえるかな。」
「…はい。」
アキが一緒にとなるともっとはちゃめちゃになりそうに思ったのは、正直嘘じゃない。
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