全面的に同意する訳でもないけども、そういう考え方もあるな…と。
節電はするな、Just ignore it!! – モバイルをバックパックにつめこんで
私もこのブログやツイッターで何度か言ったように、実際に福島第一の事故が発生してからもう一年を過ぎていますし、その政府のていたらくというのも嫌と言うほど見せられていたハズです。
それについては電力会社についても(表向きはどうかしりませんが)内心は同様でないかと思うのです。
事故の事をメディアを通じてその政府対応をみて、すぐには対応できないにしても、「(再稼働しか現状で方法がないにしても)あれ?このままだと、来年の需要期も(原発がフルに止まってるのにも限らず)再稼働に手間取るかもしれないぞ!」というのはうすうすと感じていてしかるべきだし、せめて東京電力が計画停電をはじめた時期に気がついて準備をしていれば、そこまで大幅な節電要請をしなくともなんとかなる範囲になっていたのは容易に想像はつくとは思います。
原発のある町とは、反対方向にある市とはいえ、県内に伊方原子力発電所という原発のある愛媛県の住人の一人として言わせてもらうなら、「稼働を認めるにはちょっと政府の説明じゃその不安な面は取り除けないよな…」という面がある一方、福島第一の燃料プールでさえあの状況だという事をまざまざと見せられた以上、止めてたって動かしてたって、その施設に燃料棒がある以上はリスクは(もちろんレベル的には違う訳だけど感覚的には…)同じな訳で、「動かす動かさないの前に安全対策と、万が一の時の対策の受け皿を電力会社、国共にとっととしろ!稼働とかいう話はそれからだ!」というお話。国側の対策だって揉めずにやってたらとっくにできて安全性のツメに入れていたはずなのに出来てない事情なので、「必要な稼働なのに反対するなんて…」と怒っている方はせめてその辺は考慮いただけるとありがたいです。いただいたところで状況が変わる訳でもないと言うところがいらいらするのですが、同じ県であるだけでそんな感じですから、もろに原発が建っている自治体とその30km以内の自治体の人のイライラは相当なものなんじゃないかな…と思われます。
sgrmathaさんとちょっと、立ち位置が違うかな…と思う点としては、「(今後の電力価格高騰をある程度許容できるのであれば)原子力が絶対的な選択肢でない」という点で、とは言っても需給と供給の釣り合いが取れていない状況ですし、電力価格の値上げは私達の生活にもろに影響が出てきます。電力会社だって、株式会社ですから一時的な赤字はあったとしても債務超過なんておこるようなことはあってはならないという訳で、いつまでも燃料費の高騰分をかぶり続けるという訳にもいかない訳です。そりゃ当然ながら日本経済についても影響を及ぼします。
もちろん、議論の際に出てくる通り、原子力発電は国や電力利用者から徴収する「電気料金以外」の料金で今の値段が成り立っていて、今後の(福島第一の事件による)保険額の増加を考えると実は割高だという話もありますし、実際その通りなのかもしれません。
ただ、企業の決算報告を見られた事のある方は判るかもしれませんが、建物、設備などのものは、何年もの年をかけて償却していきます。つまりは、その償却期間の間に関してはその企業の資産として残っているのですが、完全に止めるとなると、その残存期間分を放棄する事になります。
で、ご存じかもしれませんが、原子力発電所という設備を建てる時にかかるお金というのは安い物ではなく、それでも国策の一環としていろいろな施策を利用しながら立っているもので、償却期間が大幅に残っているものであればあるほど、その負担は膨大です。おそらく通常業務上で特に値上げする事もなく行うというのはほぼ無理かと思います。ですから、それもまた何らかの形で私達に負担が返ってくるものだと思います。
(だから、本音として「せめて、償却期間だけくらいは使わせてくれ」というのが電力会社の本音じゃないでしょうか。)
で、海域も含めると日本国内にまったく埋蔵エネルギーがない訳でもありませんし、本気になって開発するのであれば潮力発電や地熱発電を中心に供給量を増やす事はできるんでしょうが、判ると思うんですが、すぐって話ではないんですよね。今日とか明日って話じゃない。
もちろん、特別立法で環境アセスとかすっとばして建設する事もできるんでしょうが、それはそれで後々のリスクを抱える事ですし、仮にそのリスクを許容するにしても、それも今年とか来年の話じゃない。
救世主として持ち上げられる太陽光ですが、ご存じの通り「電力会社が強制的に購入しなきゃいけない価格」が実に高額ですから、最初から参入するメガソーラー事業者の最低買取期間が終わって、価格の値下げが入らない限りはこれの比率があまりにも高くなりすぎると逆に値上げ要因です。
どう足掻いたところで、つなぎ期間は発生する訳で、今のような無理を続けるにしても、定期メンテナンスは必要ですかし、環境アセスの省略を可能にでき、調達が容易な小規模発電所を大量に準備しないといけませんし、その大半は火力です。LNGにしたって(まだ購入額にコストダウンの余地があるとは言っても)割高になってしまいますので、おそらくある程度(年単位)の期間高い電気代を飲むしかないでしょう。
また、アテにしている技術の大半が現在進行で発展中ですので、場合によっては本格導入が大幅にずれる可能性もあり、それもまた日本経済の後退の要素になる可能性はあるとは思います。
そのような面を理解した上で、「原発をどんな理由でも再開するな」と主張している方だけであれば、(失敗による経済的地位の低下も覚悟の上でしょうから)まだそれでいいとは思いますし、政治家も含めて「本気」で動くのであればその転換が将来的にプラスの方向に働くかもしれません。
ですが、現状はといえば…。どちらにしたって、「本気」と「覚悟」が必要な局面で、本来であればトップでその世論を引っ張っていかなくてはいけない人の優柔不断な姿がテレビやいろいろなメディアを経由して伝わってくるのは、それどころの話ではないのですが、滑稽というかなんというか。
(ただ、この点で誤解していただきたくないのは、原発を稼働したら「経済的地位の低下のリスクの心配がない」と言っている訳ではありません。今後選択するオプションによっては原発の全停止をした場合以上のリスクを抱える可能性はあります。第一、福島の原発事故の件でそのジャンルにおいての信用を大きく失った訳ですから。)
あくまでも個人的見解で申し訳ないのですが、sgrmathaさんが心配なさっている「なにごともなく、夏を乗り切ってしまう」という事態ですが、おそらくそうなってしまうと踏んでいます。おそらく、さらに心配されている「足りてるじゃないか!」という誤解も生まれるかと思います。
もちろん、去年の東京電力の集中砲火をうけての、「同じ目に遭わないために」と無茶ぶりともいわんばかりの指示を出す上層部の言葉に頭を抱えながら社員の方が頑張った結果の産物なんでしょうが、多分そこは評価されません。もちろん、安定供給を義務づけられている会社で当然の事をしたまでと言えばそれまでなのですが…。
ただ、発電設備もその分無理をしていますから、普段より早い段階でボロが出るかとは思います。対策に対する選択肢に悩む時間はそんなには無いと思います。
もし、ここまで読んで「再稼働賛成派のヤツの戯言だろ?」としか思われない方。まあ、それはそれでかまいません。ただ、それで節電なさるにしても、無理は禁物です。命あってのお話ですし、それが「ほら、電力が足りなかったから…」と再稼働賛成の理由にされたら嫌でしょう?
この先、できれば良い方向に転んでいただければ嬉しいのですが、どうも悪い方に突き進みそうなコマが多いんですよね…。どうなることだか…
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