献血ライフ ~たたかう彼女と使い魔扱いのボク~(仮) – 2.彼女と僕と、そしてネコらしきもの

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「なにか、高速のトラブルで献血車がこのエリアにたどり着けないとか言うの、多くない?」
「ん?偶然じゃないのかなぁ…。」

確かに偶然にしては、近頃僕達の住む街で発生しているこの事象はというとおかしすぎるくらいに連発している。何故かというのも失礼なのだけど、これだけの大事故の連発で軽傷も含んでのけが人が発生していないのが不幸中の幸いだ。

「私、なにかあるんだと思うの。」



うう…。そうきたか…。

「そだよ?意図は判りかねるけど、通称ブラック・クロス・カンパニーが、献血車の運行に対して攻撃を仕掛けてるらしいのよ。世間には公表されてないけどね。」

彼女以外の声が聞こえたので、その声の方向を見ると、先日見かけた尻尾が二つに分かれたネコがポンジュースを飲もうと悪戦苦闘していた。

「ねえ、じっと見ているくらいなら、このジュース、薄い皿にでも移してくれないかしら?まったくもう。この地域は水道からポンジュースが出るって言われて喜んで出張してきたのに…」

いったい、どこの噂を聞いたのだかよく判らないのだけど、この地域というか県域はそういう事になっているらしい。という事は隣接の地域はうどんつゆでも出てくるのかと悩む所なのだけど、現実には水道をひねったところで出るのは水だし、赤い方をひねったとしても、それは各家でわかしたお湯が出てくるだけの話だ。

「あら、変わったネコさんね。なんとお呼びればいいのかな?」

ビックリした。彼女も尻尾が二つである事も、日本語を話した事も気がついているハズなのに、何事もなかったのように受け入れているのだ。台所から深めの皿をもってきて、ポンジュースを皿に移し替えていた。

「…なんか有名映画のキャラクターの名前に似てるらしくって、言いづらいんだけどキキって言うの。いつもジジの間違えじゃないか?って言われるんだけど、なにか連呼されるとジジイって言われているようで嫌なの。確かに200歳だとか人間から見たらそうかもしれないけど、業界では若造だし、わたしゃこう見えてもメスだよ!あと、ここにくる時に寄ったピンク色の看板の全国チェーンのスーパーも失礼よね。ジジイ、ジジイって。」

あ、なんとなく見えてきた。まあ、その辺はノーコメントでいいかな。

「コホン。話を戻すけど、そういう事で秘密裏で対策委員会が設立されて、私に誰かスカウトをしてくれって依頼されたのよ。だから…」

大切な話だと思うのに、ポンジュースをぺちゃぺちゃと飲みながら話をしているを見ると若干気が抜けてくるのだけど。…ところで柑橘系の飲み物って猫に与えてよかったんだっけ?まあ、いっか。普通の猫じゃなさそうだし。

「悪いけど、二人戦ってもらえないかな…」

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