1945.8.15

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(このお話は、作者の主観に基づく「フィクション」です。)

「先生、天皇陛下はどんな内容を話していたのですか?」



その時聞いていたのが、玉音放送。当時の私としては…いえ、多分私の周りにいる同級生も含めて。理解しようにも難解で、ただ分かる事は「なにか重要な事を話しているらしい」という事と、先生が陛下の言葉を聞いて泣いているという事くらいだった。

「戦争に負けたって事ですよ…。」

ある先生がぼそぼそっと言った。あれだけ我が日本軍の優位を謳って、将来、日本軍の一員として戦争に行くことを誇りに持ちなさいと言っていた先生だ。今思い返すと、考える事が沢山あったのだろう。
校長先生や他の鬼のような先生に比べて、生徒受けもよく私自身も好きな先生だっただけに、その時の先生の姿が一番頭に良く残っている。

「守れなくて…すまん…。」

今となっては、おそらく滑稽な風景に見えている人もいるかもしれないが、当時としては戦況が悪くなっている事自体、感づいている人こそいたが、実際に知っている人は軍の上層部と政府関係者、あとは報道に関わる人間くらいの話。大多数には「優勢に進んでいる」と伝わっていました。
なので、突然劣勢と言われたところで信用しづらかった訳だし、実際校庭にいた他の生徒の中には「なにかの罠」と叫んでいる生徒もいたような気がします。

僕が、その嘘のような話を信用できたのは、信用のできる先生がいたからなのかもしれません。

—-

「おじいちゃん?なんで、この続きが無いの?」

私がそう質問すると、おじいちゃんは軽く目をつぶってこう言いました。

「戦争は確かに終わったよ。けど、いまだに続いてるんだ。…いろいろとね。」

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